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聞き手・松山晋也(※1)
98年に出雲(島根県)のインディ・レーベル、プランクトーンからひっそりとリリースされたデビュー・アルバム『mariko』は、口こみだけでゆっくりと静かな波紋を広げ、今や一種の都市伝説となった感がある。それは、近年の音楽ビジネスの世界におけるひとつの奇跡と言っていい。ピアノだけによるシンプル極まりない弾き語りが、なぜかくも大きな衝撃を持ちえたのか。ジャズの語法を用いた、しかしどこかしら昭和の歌謡曲のような懐かしさも漂わせた歌は、そのさりげない身振りの中に汲めども尽きぬ深い情念を潜ませている。決して乱れることのない静かな息遣いは諦念のようなものを感じさせるが、同時に、何か新しい希望の光のようなもの、芳しく明澄な世界を開示しているようでもある。不思議な歌だ。そしてそれは、秋に出るニュー・アルバム『あなたへ』における、シンプルさを突き詰めた表現によって、一段とくっきりとしてきた。
 この歌が生まれ、深化していった背景には、どういう時の流れがあったのか、それを知りたいと思った。浜田真理子に会いに松江の自宅まで行ったのは、6月下旬のことである。


【1】処女作は〈アリんこ学級〉だった
【2】目指すはジャズ・ピアニスト
【3】因幡修次と出会って
【4】『mariko』の誕生
【5】ニュー・アルバム『あなたへ』
【6】生活の調和があってこその歌
【7】“諦め”ではなく“明らめ”



(※1…音楽評論家。月刊誌『スタジオ・ボイス』編集長などを経て'97年秋からフリー。レコード・ガイドブックの類の執筆多数。)

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